うつとストレス、不安は、深い関係があると考えられています。というのも、うつ、ストレス、不安は、海馬や神経新生の速度、脳の可塑性など、脳の同じ神経システムか関与している部分が大きいとされているからです。ストレスについての多くの研究によって、慢性的なストレスと不安がうつを引き起こす直接の原因であることが示されています。
研究では、さるやネズミなどの哺乳類で実験を行います。それはなぜかというと、人間を含む哺乳類は、同じ脳の構造を持っているからです。つまり、脳幹、大脳辺縁系、そして大脳新皮質の三層構造です。ストレスに関する実験では、サルやネズミなどに慢性的なストレスを与えます。
ストレスを与えられた際のまず最初の反応は、不安や苛立ちの高まりです。「闘争、逃走」反応の状態とも呼ばれます。これは、危機に際して生き残るために、戦うか、逃げるかを即時に判断して対応できるように、アドレナリンなどのホルモンが分泌されることで生じる過度な緊張状態です。しかし、生物のシステムは、不安や苛立ちによる緊張状態を長期的に保てるようには作られていません。よって、ストレスホルモンが継続的に分泌されることで、神経内分泌システム、免疫系、循環器系、血糖調整、消化器系など多数のシステムに問題が生じます。そして、 元気がなくなりぐったりしたり、無気力になったり、食欲や性欲をなくしたりします。全体として不活発になり抑うつ状態になるうことが観察されます。
遺伝や生活スタイルなどにより、システムの弱点は人それぞれです。上記のようなストレスによる体内の変化が、どのような症状として現れるかは人によって千差万別ともいえます。例えば、心臓病として現れたり、糖尿病や癌として現れたりしますが、うつ症状として現れる場合も多いと言われています。
解決策は、ストレスを減らすか、それが難しい場合には、ストレスから離れてしばらく過ごすことです。一定期間をストレスのない状態で過ごせば、脳と身体がリセットされることが期待できます。脳と身体がリセットされバランスを取り戻すことが必要です。
ストレスを軽減させる工夫については、以下に例を挙げてみます。
運動
・ヨガや太極拳
・散歩(できれば自然の中を)
・瞑想
・ダンス
・深呼吸
・音楽を聴く
・カフェインや他の刺激物を減らす
・リラックスできる情景や心の落ち着く場所などを想像する
・考えや気持ちを書き留める
・お気に入りの映画を見る
・親しい友人や家族を過ごす
・マッサージを受ける
・読書
・スポーツ観戦
・ペット過ごす
・デジタル機器から離れる時間を確保する
・編み物、釣りなどの趣味を楽しむ
上記も参考にしながら、自分の好みや環境に合わせて、予めいくつかの「お気に入りのストレス対処方法」を用意しておくと良いでしょう。
参考:
Cortright, B. (2020). Holistic healing for anxiety, depression, and cognitive decline. CA: Psyche media.