先日の記事でマインドフルネスについて書きましたが、マインドフルネスそのものについてもう少し書こうと思います。
マインドフルネスは、価値判断をせずに「今、ここ」に意識を向けることです。なぜマインドフルネスが注目されているかというと、実は、私たちは日々の生活の中で「今、ここ」に意識を向けることが、とても少ないからです。身体が物理的に「今、ここ」にあっても、意識は「今、ここ」にない、ということです。では、意識はどこに行きがちなのでしょうか。
人間の意識は「過去」と「未来」、つまり時間を認識できるという特徴があります。過去から学び、未来に生かすなど、時間を認識することで得られる有益な面も多くあります。しかし他方で、過去に執着し(後悔したり、辛い記憶を思い出したり、自分や他人を責めたり)、また未来に不安を感じる(健康、経済、恋愛関係の行方など)ことも多いのです。実際に考えごとの7割は過去か未来のことをだとも言われています。(ちなみに、人間の意識は良い面よりも悪い面に注意が向くようにできています。これも生き残り戦略の名残です。)
例えば入浴の際に、風呂場の湿度、肌がお湯に触れる感覚、指先の血流が良くなっている感じなど、「今、ここ」に刻々と変化が生まれます。それに意識を向け続けたことはありますか。むしろ、「今日も頑張ったな」「ちょっと太ったかな」「今度の休みは何をしようか」「お風呂で発汗すると肌にいいからもう少し温まろう」等々、頭は過去や未来のことで大忙しではないでしょうか。
マインドフルネスで「今、ここ」に意識を向けると、そういった自分の思考から距離をおいて、「自分の考え」を眺められるようになります。次第に、例えば「悲しい」と感じていても、その感情に飲み込まれることなく「悲しい気持ちを感じている自分」を眺めれられるようになっていきます。前の記事でも、瞑想中に考えが浮かんできたら、「考えが湧いてきたこと」に気づき、意識を呼吸に戻す、と書きましたが、これも「今、ここ」に考えが浮かんできたのですから、それ自体に善悪の価値判断はしないということです。ただ、湧いてきた考えに引っ張られてそこから連想に入らない注意は必要です。例えば、「お腹が空いた」という考えが湧いてきたら、その次に「お昼は何を食べたっけ」「そういえば食べ過ぎた」「夕食は軽めにしよう」等々。。もしも連想している自分に気づいたら、それも価値判断せずに、ゆっくりと意識を呼吸に戻してください。
たまたま今朝、ビル・ゲイツがこの夏の読書におすすめの5冊を投稿していました。「その他のおすすめ」として挙げられていた本がマインドフルネスでした。彼は、アプリを使って、週に3度ほど、1回10分マインドフルネスを実行しているそうです。私もアプリを使ってマンドフルネスをしていた時期もあります。日本語のアプリもたくさん出ているようです。お気に入りのアプリを見つけて取り組むのも一つのやり方ですね。