家族療法

ジェノグラム③ 解釈(続)

ジェノグラムを解釈するにあたり、仮説を立てる必要があります。その仮説を立てる際の視点について、引き続きご紹介します。

ライフサイクルの特徴

ライフサイクル(実家を出る、結婚、出産など)は近年多様化してきているので、「平均的なライフサイクルから外れている」という指摘自体があまり意味をなさないかもしれません。それでも、大きな偏りが目をひくようであれば、そこに家族の置かれた状況や価値観が反映されている可能性があります。

例えば、3人息子のいずれも初婚が50代である場合、家族を離れることや親密な関係を築くことに、なんらかの困難を抱えていることが考えられます。また、夫が27歳で妻が47歳の場合、どのようにして出会ったのか、また出自家族のパターンがどう影響しているのかは注目すべき点だと考えられます。一般的に年齢が高くなってからの結婚は、夫婦各々に独自の生活パターンが確立されているため、結婚当初の適応には通常以上の努力が必要だと考えられますし、また離婚から再婚までの期間が数ヶ月というような場合には、子どもがその環境適応に困難を感じている場合が予想されます。

世代間で繰り返すパターン

家族のパターンというのは世代を超えて繰り返されることがあるので、臨床家はその視点からもジェノグラムを眺めます。しばしば、パータンを認識、自覚することで、それを次世代で繰り返しを回避することが可能になります。

例えば、自殺、アルコール依存症、近親相姦など、またそれと関連して、結婚と離婚を繰り返すパターンが見られます。家族の中に自殺した人がいると、自殺が身近な手段に感じれらることが理由の一つです。有名人の自殺が社会的に自殺者を出す要因になるのと似た原理です。有名人ではなくとも、家族はそれだけ影響力が大きいのです。また、アルコール依存症に関しては、一世代目が依存症、二世代目が禁酒者、三世代目が依存症、と繰り返す場合もあります。いずれにせよ、現在の問題が家族の過去のパターンの影響を受けている可能性を重視します。

家族成員間の関係性も世代間で繰り返されることがあります。その一例は、母親と息子の結びつきが強い一方で、父親と息子の関係は対立的というパターンです。関係性のパターンが繰り返しは、三世代にわたるジェノグラムを書いて始めて認識可能になります。繰り返されるパターンを認識することで、そのパターンを繰り返さないように意識的な努力をすることが可能となります。

家族構成のパターンの繰り返しもあります。例えば、三人姉妹の末っ子が母になり、三人姉妹を生んだ場合、その末娘を自分と同一視することがあります。末息子の末息子、長男の長男などもその傾向があると言われます。

(参考)
McGoldrick, M, & Gerson, R. (1985). Genograms in family assessment. New York: Norton. (石川元、渋沢田鶴子訳『ジェノグラムのはなし―家系図と家族療法』東京図書)