認知行動療法

認知の歪み ① 過剰な一般化

思考が気持ちを決める

感染症の影響で生活全般に大きな変化が生まれました。その変化のためにストレスを感じている方も多いと思います。不安や心配が重なると、思っている以上に精神的に負担になっていることがあります。こういう場合、「認知の歪み」という視点から自分の思考(考え方)のクセをチェックしてみることが、不安の減少に役立つかもしれません。

私たちが常に世界を自分なりの意味づけによって解釈していることは、投影について書いた際にも言及しました。ただ、投影というのは、その人の心理の深いところのものが映し出されることが多いのですが、認知の歪みは文字の通り、考え方(認知)のクセのことです。心理学の視点では、思考は人間のこころ全体の表層的な部分であり、比較的自分でコントロールしやすいと考えられています。思考をコントロールすると、どうなるのでしょうか。

実は、思考は感じ方に影響を与えます。例えば、「上司は私の提案を拒否するだろう」と考えると、上司に話すことに不安を感じるでしょう。逆に、「上司は部下の提案を歓迎する人だ」と考えると、上司に提案することに前むきに感じるのではないでしょうか。このように、考え方が気持ちに大きく影響を与えます。ですから、考え方を意識的に変えることで、(例えば)不安を減らすことが可能になる、これが、認知療法の基本となる考え方です。

これから何回かにわたって、代表的な「認知の歪み」のパターンを紹介していこうと思います。まず始めに「過剰な一般化」というパターンをご紹介します。

過剰な一般化

これは、かなり限定された量の情報を元にそれを一般化して全体像を判断する思考の傾向のことです。例えば、一度告白して振られた人が「この先もずっと自分のことを愛してくれる人なんて現れないだろう」と結論する場合です。つまり、一度の失敗を元に、生涯に渡って失敗し続けるだろうと一般化しています。こう考えると、また告白することに対して大きな不安を呼ぶことになります。この不安を減らすには、この「過剰な一般化」という認知の歪みを、よりバランスのとれた合理的な見方に置き換えることが役立ちます。例えば、「人々の中には私に興味を示さない人もいるけれど、私に興味を持ってくれる人もいる」というように。このように考え方を意識的に変えると、今後も自分に興味を持ってくれる人に出会うために努力する必要はあっても、そのことに対する不安を減らすことはできそうです。不安が減ることで、また新たな出会いを求める行動を起こせる可能性が強まります。つまり、「考え方を変える(自分に関心を持ってくれる人もいるだろう)」ことで「感じ方が変わり(不安の減少)」、それに伴って「行動が変わる(新たな出会いを求めて行動する)」わけです。

皆さんは、日常生活で「過剰な一般化」をしている時はありますか。