心理学あれこれ

夫婦円満の秘訣

カリフォルニア州の心理カウンセラーの資格は「Marriage and Family Therapist」と呼ばれます。実際、夫婦や家族としてカウンセリング を受けることが頻繁に行われています。大学院でも、「カップル・セラピー」という授業がありました。

その中で印象深かったのは、この分野で著名なGottmanという研究者が中心になって行なった調査です。何十年も夫婦を追跡調査した結果、「夫婦の間の問題の7割は解決不可能だ」という結論に達したのです。つまり、夫婦間のほとんどの問題は、解決できないということです。

また、現在のパートナーとうまくいかないからといって、新しいパートナーと別の関係を築いても、そこには新たな一連の問題が生じ、その7割は解決不可能な問題ということになります。米国では、初婚の離婚率よりも再婚の離婚率の方が高いことが示されており、新しい関係を作っても、やはり問題が生じることを統計的にも物語っているように思えます。

カップル・セラピーで何をするかと言えば、まず、解決できる問題と、解決できない問題を切り分けます。解決できる問題とは、特定の状況により発生しているもの、解決できない問題とは、夫婦それぞれの性格や生活スタイルに関係しているものです。そして、解決できない問題については、「どうすれば、ストレスを減らしながら”問題と共に”夫婦として生きていけるか」が課題になります。そのための話し合いが持たれ、カップルとして新しいスタイルを模索し実践していきます。夫婦どちらかを変えるのではなく、双方の間に落とし所を見つける、ということです。その際に、カウンセラーが第三者として話し合いの場に加わることで、双方が冷静かつ誠実に自分のことを相手に伝えることができる、そこがカップル・セラピーの鍵になります。みなさんは、パートナーと、冷静、誠実に話し合う機会はあるでしょうか。

さて、Gottman調査では、幸福度の高い夫婦の特徴が分析されていますが、その一つは、「お天気がいいね」「昨晩の夕食、美味しかったね」というようなパートナーの何気ない一言に、相手がきちんと応答している点だそうです。パートナーからの声かけを無視をしたり、てきとうに返事をしたりしない、ということです。「え、そんな簡単なことなの?」と思われた方もいるかもしれませんし、ドキリとされた方もいるかもしれません。

さらに、この投稿をするにあたり改めて調べてみたところ、Gottman博士がビデオで、「(異性間カップルの場合)夫婦の問題に気づいて指摘するのは80%は妻だ」「夫は妻が何も言わなければ問題がないと考えがち」と話していました。また、The Gottman Instituteのウェブサイトでは、幸福度の高い異性間カップルの特徴の一つとして、「夫が妻からの影響を受け入れる」ことを挙げています。これらから前向きに解釈すれば、夫が妻からの指摘を受け入れる柔軟性を持っていること、そして妻が諦めずに働きかけ続けることが大切なのかもしれません。

ここまで書いておいて最後に何ですが、「離婚を避ける方が望ましい」という価値観からは自由な場所でカウンセラーは夫婦の関係を見つめます。実際、双方の人間的な成長という観点から考えると離婚する方がよい場合もあるでしょう。平均寿命の高まりに伴い、夫婦で過ごす年月も格段に長くなり、その間、歩調を合わせながら成長するカップルの方が珍しいとも思えます。その意味では、結婚の持つ意味自体が変化しつつあるのかもしれません。