エンカウンターグループ

ファシリテーター

group work

エンカウンターグループは、ファシリテーターとメンバーで構成されます。ファシリテーターの役割は、会議の司会とは違い、全体の流れを誘導したり、目的に到達するように努力したりすることではありません。そもそも、本来のエンカウンターグループでは、「今、ここ」でやれること、やりたいことを自発的に行います。「自発的」というのが鍵ですから、開始時点では何が起こるのか誰にもわかりません。言ってみれば、即興曲を皆で演奏するような感じです。ですから、目標が設定されているわけでも、理想的な流れが想定されているわけでもないのです。

それでは、ファシリテーターの役割は何でしょうか。一番重要なのは、メンバー全員に「ここは安心、安全な場である」と感じてもらえるような場になるように支えることです。なぜなら、「安心、安全」であると感じられない場であると、メンバーは警戒して「今、ここ」に集中して「自分にとって本当のこと」を話しにくくなるからです。すると内容は日常会話に近づいてしまう恐れがあります。次に、相互作用の活性化です。ファシリテーターの介入によって、発言がスルーされずに、その内容が取り上げられやすいようにコメントをします。3つ目は、個人の自己理解の援助をすることです。そして、最後に、グループからの脱落や心理的損傷の防止が挙げられます。このように書いてみると、カウンセラー(セラピスト)の役割と重なるところが大きいことにお気づきいただけるかと思います。

それでは、具体的にはどのようにしてファシリテーターは上記の役割を果たすことができるのでしょうか。残念ながら、そもそも役割の内容自体が抽象的で、それほど簡単に説明できるものではなさそうです。ただ、私の参加者としての経験から言えば、それにはファシリテーターの「在り方」が一番重要だと思います。そう考えると、例えば「どれくらいの長さ話すのか」「どのタイミングで介入するのか」といった個別具体的な「やり方」のマニュアルを作成したとしても、ファシリテーターを養成することはできないように思います。

ちなみに、エンカウンターグループの根幹にあるとも言えるファシリテーションのコツは、ファシリテーターの役割がメンバーによっても果たされることです。つまり、ファシリテーターおよびメンバーという役割が固定せず、対話の流れとともに、役割の入れ替えが起こります。各人が自然体、物ごとの流れも自然体、ということでしょうか。言うのは簡単ですが、実はこの「自然体」というのが難しいのかもしれません。