危険なストレスの特徴

ストレスというのは、精神が受ける緊張や圧力のことですから、事故や失職などのネガティブなことだけでなく、一般的には良いこととされる昇進や結婚もストレスの原因になります。ストレスには様々なものがありますが、ストレスを「要注意」なものにする要素が二つあります。

一つは、コントロールです。例えば、暴言を吐く上司がいた時に「こう対応すれば大抵はうまくあしらえる」というように、ある程度コントロールができると、ストレスの危険度は下がります。反対に、どのような対応をしても気分次第で暴言を撒き散らす上司であれば、ストレスの質としては危険なものになります。

もう一つの要素は、見通しです。暴言を撒き散らす上司が、あと3ヶ月で定年だとわかっていれば、その間の辛抱だと見通しがつきます。または、その上司は毎週月曜日に特にイライラする傾向があるなら、ある程度、上司の態度を予想するのに役立ちます。

コントロールもできず、見通しもつかない時、そのストレスは危険なものになります。ですから、とても大きなストレスでも、コントロールが効いて見通しがつけば、ある程度は対処できる可能性が大きくなります。危険なストレスの例は、少し前までの新型コロナ感染があてはまるでしょう。コントロールも見通しも立たず、社会全体に大きなストレスがかかりました。今も完全にコントロールはできませんが、ある程度の対処方法(コントロール)を社会として学んできたと思います。また、ワクチンの実用化についても明るいニュースが報道されるようになりました(見通し)。大きいストレスではあるもののコントロールと見通しがつく例としては、手術があてはまる場合があります。手術は大きなストレスですが、方法や時期について相談して決められること(コントロール)、また予後についても予め説明を受けることで、ある程度の見通しをつけることが可能です。

コントロールと見通しがつかないストレスを受けている時には、注意が必要です。「この程度のストレスなら大丈夫」と軽くみないことが大切です。これまで説明してきたように、ストレスの危険度は、その大きさよりも、むしろコントロールと見通しの有無によって決まるからです。

皆さんは、今、何をストレスに感じていますか。そして、そのストレスに対して「コントロール」と「見通し」をどの程度持っているでしょうか。