アタッチメントのまとめ ①

これまでアタッチメントについて何度か書いてきましたが、そのまとめとして動画を紹介したいと思います。話し手のアレン博士は精神科医で、米国のメニンガー・クリニックの元ディレクターを務めると同時にBaylor College of Medicineで教鞭を取っていた人物です。現在は80歳過ぎのご高齢ですが、動画は10年ほど前のものです。英語の動画なのですが、過去の投稿内容と重複する部分は省きながら、いくつか要点を書いてみます。18分程度の動画で英語の字幕がありますので、ご関心ある方は動画をご覧いただくのも良いかもしれません。

安心型アタッチメントとは、自分が困難に直面した時、例えば感情が落ち込んだり乱れたりした時に、または病気だったり困難な状況に陥ったときに、他者に助けを求めれば、その人は自分の求めに応じてくれケアしてくれるという自信を持っていることです。その関係に信頼を感じていること、これが安心型アタッチメントです。

アタッチメントの目的

アタッチメント理論の父であるボウルビーは、アタッチメントは哺乳類に発達したもので、子どもの保護がその主な目的だと考えました。母親と離れた子は本能的に大声を上げ、母親は本能的に子どもに近づいてその子どもを抱き上げたり巣に連れ帰ったりします。人間の場合も子どもが道路に出て行こうとすると親が慌てて子どもを抱えて引き戻す、といった行動が見られます。さらに人間の場合には、アタッチメントは脅威や感情的動揺に直面した時に安心だという感情を提供するものです。近年では、アタッチメントは人間関係や他の人々についての社会的学習の基礎を提供すると考えられるようになっています。

社会的学習について

私たちは、他の人々のことをそれなりに理解できることを当然だと考えていますが、時にはそうでない経験をします。例えば、「なぜあの人はあんな行動をしたのか?」「自分はどうしてあんなことを言ってしまったのか?」といった経験です。私たちの言動は、とても複雑な心理的状態(欲求、感情、思考、信念、動機、目的)に基づいていますし、一人一人が異なる過去の経験を持って生きています。ですから、人々がお互いを理解できるようになるためには、長い学習期間が必要です。私たちが人間関係や人に関して学び始めるが、幼少期の養育者との関係においてです。そして、学ぶのは他者についてばかりでなく、自分自身についても学んでいきます。なぜなら、私たちが自分について理解していることの大半は、人々が自分に対してどのように反応したかに基づいているからです。例えば、母親が泣いている幼児に「悲しいんだね」と反応することで幼児は自分が悲しいという感情を経験していることを学びます。自分に対する人々の反応を取り入れることで私たちは自分自身について理解していくのです。

メンタルヘルスにアタッチメントが重要な理由

アタッチメントによって、私たちが安心した気持ち、安全であると感じることができると考えると、それがメンタルヘルスや幸福感の核心であることがわかります。これに関して興味深い実験があります。夫婦関係がうまくいっているカップルを実験室に招き、妻に電気ショックを与えます。妻が夫の手を握っている場合、妻が実験者(つまり見知らぬ他人)の手を握っている場合、そして誰の手も握らない場合と条件を変えて妻の脳の反応をスキャンして観察し比較すると、妻が夫の手を握っている時には、脳は電気ショックに対して活性化する度合いが低いことが観察されました。つまり、安心を感じるアタッチメント対象である夫の手を握っている時に、妻の脳では不快な感情を起こす活動がその他の場合に比べて起きにくいことが示されたのです。さらに、脳が感情的に不快な経験をしている時には、脳は不快感情をコントロールしようと活性化します。つまり、不快な経験をすると、脳は不快だと感じる活動と、不快さをコントロールしようとする両方の活動をするのです。これは脳にとってかなりの活動量であり大きな負担です。実験から言えるのは、安心と信頼を感じている人と繋がっていると感じることで、脳の負担を大きく減らすことができるということです。この実験研究のポイントは、感情的な苦痛を和らげる最も効果的で効率的な方法は、信頼する人との繋がりだということです。

(2)に続く予定です。