米国心理学会(American Psychological Association;APA)の学会誌が届きましたので、その中の記事から呼吸法についての最新の知見をご紹介します。
マインドフルネスは不安の低減に効果があると実証されていますが、今回の研究では、サイクル呼吸法(cyclic breathing)の方がマインドフルネスより不安低減効果が大きいと報告されています。だたし、この研究は被験者数が108名と比較的小さく、予備研究段階といえるかもしれません。
108名の被験者は、マインドフルネスと3種類の呼吸法の合計4つのグループに分けられ、それぞれ割り振られた呼吸方法またはマインドフルネスを1ヶ月間、毎日5分実行しました。実験の開始時点と終了時点で、被験者の不安の程度や睡眠困難などに関するデータが収集され、このデータの分析結果が冒頭にあるように、サイクル呼吸法(cyclic breathing)の方がマインドフルネスより不安低減効果が大きいということでした。一つの要因として指摘されているのは、マインドフルネスよりも呼吸法の方が「自分でコントロールしている感覚」が強いので、それが不安低減に効果を発揮するのではないかということです。
米国の神経科学者であるAndrew Huberman博士によるサイクル呼吸法の動画をアップします。動画が5分間なので、動画と一緒に呼吸法を実践すると、実験と同じように5分間の呼吸法が実行できることになります。
動画の始めに英語の文章が表示されますが、ざっと訳すと「サイクル呼吸法は、鼻から2度息を吸った後、口から息を長く吐く方法です」「この呼吸法は、ストレスを低減させ落ち着いたリラックス状態を作り出すことが科学的に証明されています」という内容です。
注意事項としては、呼吸に意識を向けるとかえって不安が強まる場合には、決して無理に続けようとしないことです。また、動画の呼吸のサイクルが長すぎたり短すぎたりする場合には、自分にちょうどよいサイクルで継続することも大切です。ある程度は動画の再生速度で調節もできます。リラックスが大きな目的ですので、無理は禁物です。