腹式呼吸(横隔膜呼吸)

以前、サイクル呼吸法についてについて投稿しましたが、今回は腹式呼吸を紹介したいと思います。

腹式呼吸にはさまざまな効果がありますが、ここでは特に腹式呼吸の自律神経を整え、不安や緊張を鎮める効果に注目します。私はセッションで不安や緊張に襲われた時の対処法を予め複数用意しておくこと(「道具箱」と呼ぶこともあります)をお勧めしていますが、この腹式呼吸も道具箱に準備してもいいかもしれません。

腹式呼吸の方法は以下になります。シンプルですが、すぐにできるとは限りません。焦らずリラックスして練習することで自然にできるようになります。自然にできるようになれば、緊張や不安な場面で活用しやすくなります。パニックを起こす際には呼吸が浅くなっていることが多いので、腹式呼吸の活用が有効です。


1)椅子に座って、上半身をリラックスさせる
上半身に力が入っていると横隔膜が緊張している状態にあるので、まずは肩、肺からお腹まで全体をリラックスさせることで横隔膜をリラックスさせます。横になって膝を立てた姿勢だとよりリラックスしやすくなります。

2)片手を胸のあたりに、もう片方の手をお腹に乗せる

3)すぼめた口からゆっくりと長く息を吐き出す
息を吐くことから始めます。この時、胸に置いた手はなるべく動かないままで、お腹に置いた手がお腹を押す方向に動いていると腹式呼吸になっています(手でお腹を押す必要はありません)。

4)鼻から息を吸う
胸に置いた手はなるべく動かないままで、お腹に置いた手が動くように呼吸ができると腹式呼吸になっていることがわかります。

5)数秒、息を止める

6)すぼめた口からゆっくりと長く息を吐き出す
口笛を吹く時やろうそくの火を消す時のように、唇をすぼめて息を吐くことで、呼吸のペースをゆっくりにできます。この時も、胸に置いた手は動かず、お腹に置いた手が動くようにします。

呼吸が機械的になったり、呼吸をしにくく感じたり、少しめまいがしたり、頻繁にあくびが出るようなら、頑張って呼吸をしすぎているサインです。呼吸をコントロールしようとはせず、リラックスして行うようにしてください。

1回10分程度の腹式呼吸を毎日1−2回行うと、交感神経が落ち着き、自律神経のバランスが整うことが実験から証明されています。

慣れるまでは、起床前に練習するのも一つの方法です。横になったまま、膝を立てて行います。起床前に心を静かに整えて、1日をスタートすることを習慣化するのもよいかもしれません。

参考)Diaphragmatic Breathing | UCLA Integrative Digestive Health and Wellness Program(2024/6/18 閲覧)