安全で守られているとき、魂は自らを癒す
「よりよく在ろう」「よりよく生きよう」と自らの成長を求め、それを実現していく力と叡智は全ての人の中にあります。そして、その自己治癒力、言い換えれば「自らを受け入れ、変化していく力」を引き出す際に一番大切なのは、クライエントが「安全で守られている」と感じられることです。
まず、カウンセラーと話すことが本当に安全かという点ですが、例えば、カウンセラーは自分自身の考えをクライアントに押し付けることは決してしないように訓練されています。また、私は理論に基づきクライアントを分析して、解釈による決めつけすることはありません。
カウンセリングでの安心、安全というのは、例えてみれば、勇気を振り絞って高いところから飛んでみたら、着地点はふんわりと心地よく、こころも身体もホッとする、そんなイメージです。
また、守秘義務の遵守、個人情報の保護はカウンセラーの基本的な責務と考えています。守秘義務について詳しくは以下のページをご覧ください。
→カウンセラーの守秘義務について
身体感覚やイメージからもアプローチ
カウンセリングというとクライエントが話してカウンセラーが聞く、というイメージがあるかもしれません。しかし実際は、言葉にならない身体の感覚やイメージからアプローチすることが効果的な場合が少なくありません。それは、身体—心—思考が深くつながっているからです。もちろん、言語でのコミュニケーションも重要ですが、話すのが苦手だからと言う理由でカウンセリングを敬遠されている方がいらっしゃるようでしたら、その心配はいりません。
そもそも、カウンセリングでは、わかりやすく話すことや、なめらかに話す必要はありません。話したいこと、話しやすいところから始めてみてください。話しているうちに、身体感覚が何かを訴えてくるかもしません。
また、考えや感情を言葉で表現するのが得意な方にも身体感覚やイメージからのアプローチが有効な場合があります。なぜなら、ものごとを言語で「考える」傾向が強いため、時として「感じる」ことが、あまりできなくなっている場合もあるからです。
上記に加え、クライエントの課題によってはロールプレイをしたり、マインドフルネスの練習をしたり、様々な方法でアプローチしていきます。
カウンセラーは、クライエントが安心して、考えたり感じたり、それらを整理したりすることに集中できるような環境を作りながら、クライエントに伴走します。
カウンセリングの捉え方
カウンセリングというと、うつ病などの症状や深刻な悩みのために日常生活に大きな支障をきたしている方が受けるもの、というイメージがあるかもしれません。そして、そのイメージのために、カウンセリングに関心はあるけれど最初の一歩を踏み出せない方も多いのではないでしょうか。
しかし、私が心理学を学んだ米国では、小さな問題が大きくなる前にカウンセリングを受けてバランスを取り直したり、状況を切り抜けるヒントを一緒に考えたりと、多くの人が気軽に活用しています。日々の生活に大きな問題はないけれど、よりよく生きたい、自分を追求したいなど、さらなる「自己成長」を目指してカウンセリングを選択する方も少なくありませんし、企業の経営層の人々も「安定した精神状態を維持し的確な経営判断を下す」目的でカウンセリングを受けることが普通に行われています。
ですので、つらい症状を抱える心のケアから、さらなる自己成長のサポートまで、クライアントが自分らしく生き生きと生活できるように心理的サポートを提供することがカウンセリグだと捉えていただけたらと思います。
なんとなく感じる生きにくさや、ある状況下での強いストレスなどを、日々やり過ごしながら生きていくのも一つの方法だと思います。でも、それらの違和感やストレスに「向き合う必要があるのでは」「向き合わないとこれ以上進めない」と、ふと感じることがあれば、それは未解決の課題に向き合う内的な準備が整いつつあるというサインです。
「課題」というと少し大げさかもしれませんが、カウンセリングを通して課題が浮き上がってきたら、それはラッキーなことではないでしょうか。なぜなら、それまでのモヤモヤした捉えどころのない気持ちや持て余してしまう程の強い感情を、課題として認識することで、そこから何をどのように学ぶのか、さらに日常生活にどのように統合して行くのかを考えていけるようになるからです。そして、やり過ごしてきたことに敢えて向き合う、それは「強さ」だと思います。
自己成長の旅に終わりはありません。けれど、どこを目指しての旅なのかと問われれば、それは「自分が誰であるかを思い出す」ことだと思います。それがカウンセリングの行程で少しずつ起こります。そして、自分の内にある豊かなリソースに気づき、それらとより良く繋がることで、結果としてより多くの選択肢を持つことができるようになります。